今日、作家の故井上ひさしさんのお別れの会があったとニュースで聞きました。
井上さんの本にはじめて出会ったのは10代のころ。
読んでいて、なんとも心地よい言葉遣いや、
話の奇想天外さ、独特のユーモアに惹かれて、
「井上ひさし」と名前のついている本は、
評論だろうが、脚本だろうが、手当たりしだい読んだものでした。
私生活ではいろいろと批判もあったようですが、
井上さんの作品には、(陳腐な言い方だけれど)人間愛があふれていたし、
人間を見つめる目のするどさに、本を読んでいてどきっとすることもしばしばでした。
こちらに引っ越してきたばかりのころ、強がっていた反面、
言葉もわからない、友達もいない・・・で、
心細く不安な思いをしていたのですが、
そのとき日本から持ってきた「井上ひさし本」にどれほど助けられたことか。
そのころ読んでいた井上さんの本に、
「本を読んでいると心の按摩にかかったようで・・・」という一節がありました。
私にとって、井上さんの作品は、まさに心の按摩であり、安眠薬。
出産直前、陣痛逃しのために「家庭口論」を読んでいたほどです(笑)。
数年前夫に「ビートルズはもう解散してしまっているからしょうがないけど、
井上ひさしが亡くなったら私はものすごくショック受けると思う」という話をしました。
(私はビートルズ狂いでもあります。)
夫は苦笑い半分、あきれるの半分で聞いていましたけど、
実際「お別れの会」の様子をテレビで見ながらとても悲しくなりました。
今日も、寝る前に「井上式按摩」にかかることにします。