一時帰国まで、あと少し。いつものことながら、「あと3ヵ月、2ヵ月」というところからはじまって、1ヵ月切るともう落ち着かなくなる。何を、いつ食べるかとか、国内のホテルやチケットの手配でやり残してることはないかとか、お土産や持ち物はそろってるかとか、そんなことで頭がいっぱい。もう少し平常心で帰国を迎えられれば、オランダに戻ってくるのもそんなに辛くないだろうに、自分で自分を煽っているような気もする。
14年以上も日本を離れてくらしていて、なんで未だにこんなに帰国前後は浮ついた気持ちになるんだろうと、年上の友人に話したら、「もしかして、うまく親離れできなかったんじゃない?」と言われた。ドキッとした。言われてみれば、かれこれ20年前に実家を出たのも、14年前にオランダに来たのも、どちらかというと、成長に伴った、成熟した巣立ちというより、反抗心というか、束縛を断ち切るように逃げだしてきた、という感が強い。その一方で(というか、だからこそ)、親や家族に、ありのままの私を見て欲しい、受け入れてほしいという思いが強くて、帰国して家族とのズレを感じる度に、ものすごく不安定になってた。
去年両親がオランダに来た時、父が、「ここにきて、お前はこういう暮らしがしたかったんだなあ、って初めて分かった。」ってつぶやいたその一言で、私のなかにあった妙なこだわりやら、強がりやらがすうっと溶けた気がした。色々突っ張ってみせてても、結局はお父さんに「よしよし」って言って欲しかったんだね。
突っ張って、周りの価値観を否定することで、自分の有り様を弁護するんではなく、相手の価値観を尊重しながら(それがお互いになかなか受け入れ難いものであったとしても)、私は私として生きるしかないんだ、と、少しずつ思えるようになってきた気がする。
これが親離れにつながるか、そして、帰国前後の情緒不安定の解消になるかは分からないけど、少しは自然体で日本へ行けるんじゃないかな、と思っている。